調味料を取ろうとして、瓶を持ち上げて中身を確かめる。違ったら戻して、隣の瓶をまた持ち上げる。私はキッチンでその動きを何度も目にしてきました。この無駄な動作を無くすことはできないだろうか?
私は四肢麻痺の電動車椅子ユーザーで、自分で調理をすることはできません。ヘルパーに気持ちよくサービスを提供してもらうため、キッチンに立った時の動きを観察してきました。この記事では、10名以上のヘルパーを観察して気づいた困りごとと、使う人の声を聞きながらTopCapSを形にした経緯をお話しします。
収納を整えても、調味料を探す手間が残ることがあります
収納場所や並べ方を整えると、調味料を取り出しやすくできます。ただ、瓶の上から中身が分からなければ、持ち上げてラベルを読む動作は残ります。家族やヘルパーなど複数人で使うキッチンでは、「醤油はどれ?」「みりんはどこ?」と確認が必要になることもあります。冷蔵庫のドアポケットで瓶が見えにくくなる理由や、収納を変えても探す手間が残る理由も紹介しています。
きっかけは、ヘルパーが瓶を持ち上げる動きでした
ヘルパーが調味料を使うたびに瓶を持ち上げる様子から、側面ではなく上から中身を見分けられたら便利だと考えました。最初はふたにマジックで書く、シールを貼る方法も思いつきましたが、調味料が変わるたびに書き直したり貼り直したりするのは、私の美学に合わず実践しませんでした。継続して使えるものが欲しかったのです。
条件に合うものが見つからず、使い捨てのシールではなく、瓶を買い換えても繰り返し付け替えられる仕組みが必要だと考え、まずは身近にあった100円ショップのくるみボタンでデモ機第1号を試作しました。まず、そのデモ機をヘルパーに使ってもらいました。
自分で試せない分、使う人の声で改良しました
デモ機第1号は約2年半使われました。ヘルパーが瓶を持ち上げて確認しなくなり、付け替えも自ずと行うようになりました。使う人の動きが変わったことが、製品化を目指すキッカケになりました。
私が四肢麻痺であることは、この商品の対象を障害のある人に限る理由ではありません。TopCapSは、家族やヘルパーなど複数人でキッチンを使う人が、調味料を見分けやすくするための製品です。私にとって障害は、使う人を観察し、実際の声をもとに設計を見直してきた開発の背景の一つです。
この不便は私だけではないか。調査で確かめました
特許の準備を始める前の2023年秋、私はこの不便は自分だけのものではないかもしれないと考えました。共働きで家事を分担する家庭、年齢とともに調味料の配置を覚えにくくなった人、小さな表示が見づらい人にも、上から分かる目印が役立つのではないか。キッチンが可愛くなることも価値の一つだと思いました。
見立てを確かめるため、製品化の最終段階だった2026年1月にアンケートを実施。全国の10〜90代女性400人のうち、43.25%が瓶を持ち上げて中身を確かめることを「よくある」または「たまにある」と回答しました。結果を見るのは怖かったものの、この結果により私の中で「だろう」が確信に変わりました。アンケートで確認したのは『調味料を持ち上げて確かめる煩わしさ』そのものです。家事の分担状況や年代を問わず、多くの人が日常的に『探す手間』を感じていることが分かり、この課題解決への確信が深まりました。特長と仕組みに調査の概要を公開しています。
シールが合うか、付け替えて使うものが合うかで選び方は変わります
調味料の名前を見分ける方法には、シールやマジックで書く方法などがあります。手軽に始めたい人には、100円ショップのシールが合う場合もあります。私は継続して使える方法が欲しくて実践しませんでしたが、シールが合う人もいます。シールで足りる人・足りない人の違いは、調味料収納は100均で足りる人・足りない人にまとめました。
調味料を入れ替えるたびに表示を書き直したり、貼り替えたりするのが手間なら、繰り返し付け替えられる方法も選択肢になります。使う瓶の形や、どこから中身を確認するかに合わせて選ぶのがよいと思います。
何が合うか迷ったら、まずキッチンで次の3つを見てみてください。
- 調味料を使うとき、瓶を持ち上げてラベルを見ていますか
- 自分以外の家族やヘルパーも使い、「どれが醤油?」と聞かれますか
- 調味料を入れ替えるたび、表示を書き直したり貼り直したりしていますか
当てはまることがあれば、置き場所だけでなく、瓶の上から中身を見分ける方法も検討できます。
TopCapSは、ふたの上から調味料を見分けるキャップです
TopCapSは、瓶のふたの上面に取り付けて使う調味料識別キャップです。上から文字やアイコンを見て中身を見分けやすくし、調味料を使い切ったら別の瓶へ付け替えて繰り返し使えます。
ふたに直接書くより広い表示面があり、販売商品にはUVプリンターによる立体印刷を採用。見分けやすさに加え、アイコンや色でキッチンを可愛くできることも特徴です。一般的なラベルシールとは一線を画す、圧倒的な使いやすさと質感を持つ『これまでにない製品』ができたと自負しています。
インデックス版・アイコン版 共に各20種類、無地版を合わせて全41種類。直径2cm以上のふたに対応し、変形タイプは対象外です。耐久確認では10日間で「剥がしては付ける」動作を1,000回行いました。オンライン販売は2026年11月中に開始予定です。詳細はWEVENRY公式サイトをご覧ください。
調味料を探す動きを見直すところから
調味料を探す手間は、収納だけでなく、使う人がどこから中身を確認するかによっても変わります。上から見て分かる表示が必要か、シールで十分か。まずは、ご家庭のキッチンで瓶をどう確かめているか見てみてください。
私はヘルパーの動きを観察したことから、TopCapSを考え始めました。これからも、しっかりとした製品を世に送り出すため、使う人の声を聞きながら改良を続けます。